思春期特発性側弯症と遺伝子

病気と遺伝子のこと (側弯症の遺伝子は騙すことが平気な人間の遺伝子を引き継ぐより何十倍も「普通」)


思春期特発性側弯症の中で、急激にカーブが進行していくタイプに関してはその原因因子となりうる「遺伝子」が発見された。というニュースがあるようです。

類似としては、特発性側弯症には複数の遺伝子が関与していると考えられ、そのうちの「ひとつ」を発見した。というようなニュースも見聞します。

ここで述べたいのは、特発性側弯症の原因がどの遺伝子だった。というようなことではなく、仮に「遺伝子」が原因であったとした場合の、その捉え方についてです。

まだ下書き的な散文状態ですが、タイトルにあらわした言葉が私の耳元に聞こえています。

........側弯症の遺伝子は、(その病気をネタにして病気の子どもを持つ親を)騙すことが平気な人間の遺伝子を引き継ぐより何十倍も、何百倍も「普通」.......

「こころ」は遺伝する。という医学・社会科学論文があります。その内容が真実かどうかは私にはまだ理解できる知識はありません。しかし、この世には「他人を平気で騙せる人間」と「そのようなことができない人間」がいる、ということは自分の生きてきた人生経験の中からも、うなづけるものです。

彼らは、平気で騙すことができる。

一方、騙されて、そのことに気づいて泣いている人がいる。その人たちの心の負担は、「騙された」ということよりも、「病気であること」「治らない病気であること」「その病気を遺伝させたのかもしれないと考えてしまうこと」「その病気が(将来産むであろう我が子に)遺伝するかもしれないと考えてしまうこと」

おそらく、こころに去来しているのは、そのような考えても考えても答えのでない迷路なのではないでしょうか。

特発性側弯症の原因が全て「遺伝子」で説明できるかどうかは未だにわからない。というのが現時点での医学の姿だと思います。 ヒトの持つ遺伝子のうちのどれかが関与しているだろう、ということは解明されてきているようです。専門的にはLBX1とか、GPR126とか、etc がしばしば医学ニュースとして発表されています。

それらのニュースを目にするたびに思うのは、もうひとつの視点が欠けているのではないですか? ということ。

それは、特発性側弯症に限らず、明らかに遺伝子に原因があると判明している多くの遺伝性疾患についても言えることなのですが、(仮に特発性側弯症の原因が遺伝子にあるという前提に立った場合でも)、その遺伝子を持つことは「悪いこと」なのですか? ということ。

多くのマスコミ等が医学系の新発見等のニュースを発表するとき、「医学系」であるがゆえに「医学の事」しか語っていない。ということ。 特にそれが「遺伝」に関わる病気である場合、「遺伝」の持つ社会的意味......患者(その家族)の人生をどう考えているのか、ということの視点がそのニュースからは見えることはほぼありません。それはおそらく、ニュースは事実を伝えるものであって、そこから派生する様々な出来事・思想・思考はそれを語るにふさわしい媒体の役割、という分担があるからなのでしょう。

それを語るにふさわしい媒体とは、

例えば読売新聞には「医療ルネサンス」という特集記事欄があり、そこでは患者に踏み込んだ内容が語られています。日付は忘れましたが「No6732 難病の子治療の扉:患者団体が治療開発支援」ではレット症候群の子を持つ親が患者団体を作り、治療法を探すための第一歩として患者のデータベース作りを進めていることが記されていました。

患者の会。これもひとつの媒体。医学をベースにしつつ、さらに患者(その家族)の日常生活に踏み込んだ問題提起とその解決策を求めて、知恵と汗を流されていると思います。

ブログ。これもひとつの媒体。患者本人の、あるいはその家族によって、さらに広い話題と視点が語られています。

小説もひとつの媒体。あるいは映画、テレビドラマもそうかもしれません。......ただ涙腺に訴えるだけのものは個人的にはあまり好きではないのですが。

テレビでは、「24時間テレビ」のような直接的働きかけを行うという媒体も大きな存在です。

しかし、これらの媒体においても、「遺伝」の持つ多様な問題に踏み込んだものを私は寡聞にして知りません。

そして、私の視点はただひとつです。 

    「(仮に)特発性側弯症が遺伝するものだとして、それは悪いことなのですか? 」 ということ。

病気になることは、(健康であることから見れば) それは決して望ましいものでないのは明らかです。

でも、病気は「悪事」ではない。 病気は「犯罪」ではない。 病気は「罰せられる」ものではありません。

   

      (仮に)特発性側弯症が遺伝するものだとして、それは悪いことなのですか?

ここで言う「悪いこと」という定義は、「人間として」また「社会的に」という意味で用いています。

仮に特発性側弯症が遺伝するものだとして、それは「人間として悪いこと」なのでしょうか?

仮に特発性側弯症が遺伝するものだとして、それは「社会的に悪いこと」なのでしょうか?

自分(病気のお子さん)は苦労します。その子のお母さんは苦労します。

でも、誰にも迷惑はかけていません。 他の人たちを、社会的にも、経済的にも、そして倫理的にも傷つけてはいません。 この病気は自分との闘いではあっても、他人を食い物にする戦いではありません。

私が何を述べたいかは もうおわかりいただけたと思います。

敢えて問いかけます。 

ヒトの心は遺伝する、と言われています。

病気の人を平気で騙す遺伝子を、あなたは、あなたの子どもに遺伝させることも平気なのですか?

august03

リンク:  Step by step ~民間療法反対論~

「病気と遺伝子のこと (側弯症の遺伝子は騙すことが平気な人間の遺伝子を引き継ぐより何十倍も「普通」) 」


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